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服が窮屈に感じたら

暖かくなってきて、そろそろ冬物を片付けて春物を引っ張り出す時期になりました。

久しぶりに春物を羽織った時、「あれ、服縮んだ?」と感じた事はありませんか?

それは本当はあなたの身体に余分なお肉がついたせいかも知れませんよ!(ドーン!)

一種のあるあるかも知れません(自分含む)ちょっと糖質控えるとか(自分含む)運動してみるとか(同)

肉体のシェイプアップができればもちろんベストかもしれませんが、そうも言っていられないときは服を少し拡げることも可能です。

前置きが長くなりましたがここからが本題です。

洋服のお直しの場合基本的には小さいサイズを大きくするより、大きいサイズを小さくする方が、出来る事は多いです。

今のほとんどの洋服は縫い代(縫い込み)が1センチ程度で全てそろえられています。

ただ昔からの名残で紳士服のジャケットの背中の中央には2センチほどあります。

時々後ろの脇側にも1.5センチくらいの縫い代がついてたりします。

(スーツはもともと体型に合わせて多少調整できるような構造になっている為、スラックスのお尻からウエストの部分、内股の後ろ側、スラックスの裾と上着の袖口で寸法を調節しやすいよう余分はあります)

既製品オーダーメイド問わず機械縫製されているものは上記の数値内でほぼ揃えられています。

例外があるとすれば手作業で一つ一つ工房で制作されるような服は(スーツだけに限らず)任意で余分に縫い込みが取られています。

例えば衿みつ、肩線、前身頃の脇、アームホールの上半分、ダキ、内袖のアウトシーム、下袖の後ろ側、パンツの後身頃側面、内股、などは縫い込みが多めに残されています。

つまりここで大きくしろよ、との先人達の教えだと思っています。

昔の服は一縫い代1センチではなく0,7センチ位、そこはもう出せません、という位の寸法で揃えられてました。

恐らくですが、これはもともとスーツ作りの単位がインチで計算されていた名残ではないかな?と、もしくは押さえの幅に近いから正確に縫えそう、とか。

現在はセンチメートルで統一されていますが、インチとか、尺、寸、といった数値のほうがなんとなく雰囲気のでる寸法のような気がしています。

例えば3センチ、2,5センチという0,5刻みではなく、3,2センチ、2,7センチみたいな中途半端な数値のほうが良い塩梅になりそうで、こういったセンチメートルでは中途半端な数値がインチや尺、寸表記だと1インチとか1寸で済むんだと思います(テキトーですよ)。

いわゆる黄金比率みたいなところに通ずるのかなと感じています(そんな気がしているだけかもしれませんが)

ちょっと脱線しましたので話しを本題に戻すと、

通常は布の切り端を頼りに本来の「出来上がりのライン」を縫製するので縫い代は出来るだけ少なく、かつ一定に揃えておかないといけないのです。

縫い代を十分残す、あるいは任意の形に残すには切り端(エッジ)を頼りにしなくていい方法で仕上がりの位置を知りたいので、その為チョークで出来上がりのラインを直接いれるとか、仕付け糸で印をつけるとか、そういった個々の手作業が必要なわけです。

ちなみにお直しは後者です。

1センチの縫い代の中で0,3の位置0,5の位置0,7の位置というラインを取る事もあります、またそういったことが出来ます。

勝手に独りで深みに嵌ってしまいましたが、簡単に言うと

スラックスは(紳士物で通常の仕立ての場合)ウエストで4~5センチ、ヒップは1~2センチ、わたり~裾幅で2~3センチ程は大きくできます。

ジャケットで身頃2~3センチ位でしょうか。

それでも全て縫い代次第といったところなので、それより多い場合も少ない場合もあります。

もうひとつ、布と布を縫い合わせる時の目印の「ノッチ」という切り込みが厄介者で、工場生産には欠かせないのかもしれませんが、5ミリ以上切り込まれていたりするとほとんど出せなくなります。

あとはベント(複数形でベンツ)のあるジャケットはこの画像のようにバッツリ切り込まれていたりすると出せません。

こういうのを見ると製造生産する側はサイズ調整する場合など全く想定していないのだろうと感じてしまいます。(このようにしたほうがおさまりが良いには違いないですが、意外とインポートのものは切り込まずに縫い代を割ったり倒したりしているものが多いです)

かつて自分がそうだったので何も言えませんが『作って売って(処分して)また買ってもらう』というサイクルでしか廻っていない衣料業界なので自分の様な職種は眼中に無さそうだな笑、とアナーキーな気分になりますね。

そのサイクルの外側にはまだブルーオーシャンが広がっているような気がするのですが。

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